協議会のメンバーたち
琵琶湖疏水の観光船事業で、京都市や大津市などは実行委員会を改編して、新たな組織「琵琶湖疏水沿線魅力創造協議会」を12日に発足させた。2018年度からの本格運航に伴い、民間事業者に運営を委託し、当初の3年間のうちに乗船収入で運営経費を賄い、持続運営できる態勢の確立を目指すことで合意した。
両市と京阪ホールディングス、JR西日本などで構成する従来の実行委員会のメンバーに、新たにJR東海や滋賀県を加え、誘客やPRを強化する。事務局も京都市上下水道局から京都市観光協会へ移した。
初会合では、本格運航の事業方針を確認した。期間は春(4~6月)と秋(9~11月)の約80日間で、17年春の試行段階の20日から大きく増やし、1日当たり往復9便を運航する。18年度から3年間、船の運航やガイド育成、商品販売などの運営を事業者に委託し、これらに掛かる年間経費3千万円を乗船収入で賄う。
一方、10月に完成する屋形船風の専用船2隻や、インターネットの予約販売システムは京都市がつくり、委託業者に無償貸与する。これらの初期投資1億円を国交付金や両市の拠出、企業協賛金で補う。
協議会の長谷川淳一会長(京都市観光協会専務理事)は「明治から150年の節目に、明治の先人が築いた近代化の産業遺産を用いた観光事業に乗り出せる。京都と大津という異なる魅力のまちをつなぎ、沿線の山科や岡崎の地域活性化を図る。民間の協力で自立・自走できる事業に育てたい」と話した。
琵琶湖疏水の観光船事業は、15年度から春と秋に第1疏水の蹴上-大津間(7・8キロ)で試験運航してきた。今年の秋は新船の安全確認などを行うため運航しない。