京都市は14日、宿泊税条例案を公表した。1人1泊当たり200円、500円、1千円の3段階で区分し、民泊を含む全ての宿泊客を対象とする。観光客の急増に対応する費用の確保に迫られていた市にとっては貴重な財源となるが、納税する宿泊客と徴収を担う宿泊業者の負担感を伴うだけに、効果的な使い道を示して理解を得られるかが課題となる。
市は年間延べ約2100万人(2016年)に上る市内の宿泊客のうち、約94%が1泊2万円未満(税額200円)に該当すると推計している。2万円以上5万円未満(500円)は約5%。高級宿泊施設が対象となる5万円以上(1千円)は1%に満たないとみる。観光やビジネスなど宿泊客は目的にかかわらず課税されるが、修学旅行生と引率者は免除となる。
1万円以上の宿泊料金で100~200円を徴収する東京都、100~300円を課税する大阪府と比べると、京都市は1泊1万円未満や2万円以上の場合などで高額な設定となる。
東京五輪に向けて外国人観光客がさらに増えると予想される中、観光分野に必要な経費が膨らんだとしても、「いったん制度をつくった後では値上げが難しい」(市幹部)との判断があった。区分はさらに細かい案が検討されていたが、宿泊業界から「簡素な制度に」との強い要請もあり、3段階とした。
市は2018年10月の導入を予定しており、初年度19億円、2年目以降は45億6千万円の税収を見込む。徴収にかかる費用は初年度に3億円余り、2年目からは1億円台と見積もる。
条例案で使途は明記しておらず、「国際文化観光都市としての魅力を高め、観光の振興を図る施策に充てる」としている。市は交通対策や景観保全などで具体策を検討しており、「市民、観光客の双方に満足度を高める取り組みを進めたい」(行財政局)としている。