展示会場の一角=松山文創園区提供
(台北 16日 中央社)日本統治時代に建設された旧松山たばこ工場が来年で80周年を迎えるのを祝い、同工場跡地を再利用した文化施設「松山文創園区」(台北市)で16日、工場の歴史を振り返る展覧会が始まった。初公開を含む貴重な資料や写真に加え、AR(拡張現実)を利用した展示も用意し、工場の物語や当時の仕事風景を伝える。
松山たばこ工場は1939年に操業開始。戦後は総督府専売局から台湾省専売局に接収され、1987年には従業員数が約2000人に達するなど最盛期を迎えたが、1998年に台北たばこ工場に併合され、歴史に幕を閉じた。2001年に台北市政府によって市定古跡に登録された後、改修などを経て2011年に松山文創園区として生まれ変わった。
同園区によれば、展覧会の開催は、1972~1976年に工場長を務めた任先志さんの娘、玲玲さんと交流が生まれたのをきっかけに実現に至ったという。海外に住む玲玲さんは昨年、先志さんから30年以上前に送られた工場の写真を手に同園区を訪問。工場に関する資料は1998年の移転時にばらばらになっていたが、玲玲さんとの出会いを機に同園区は歴史の調査に乗り出し、多くの貴重な資料を集めた。
同園区は工場でかつて働いた元従業員にも声を掛け、展覧会への協力を募った。AR展示では勤務歴45年以上の女性を語り部として登場させたほか、22日には元従業員10人が工場にまつわる物語を紹介するイベントを開催する。
展覧会は来月29日まで。入場無料