100年ぶりに里帰りした「木蘭」などが並ぶ「名作の帰還」展の会場
京の日本画家橋本関雪(1883~1945年)が100年前に手がけた大作屏風(びょうぶ)「木蘭(もくらん)」など3作が、画室のある白沙村荘橋本関雪記念館(京都市左京区)に新たに収蔵された。1世紀ぶりに制作された場所に戻り、17日に同館で始まった「名作の帰還」展で公開されている。
中国の民話が画題の「木蘭」は1918(大正7)年、第12回文展で特選を受賞した代表作の一つ。老いた父に代わり、男装して出征した娘木蘭が自軍を勝利に導き、帰郷を許される。その帰途、馬を休ませるひとときを描く。木陰でかぶとを脱いだ木蘭がふと見せる少女の優しい表情、服の鮮やかな群青色が印象的な逸品だ。関雪のひ孫の橋本眞次副館長は「人物画の中でも人気が高い。話の中の木蘭のように長い旅を終えて帰ってきたよう」と喜ぶ。
また、唐の詩人白居易が、船上で琵琶を奏でる女性と出会う場面を描いた屏風「琵琶行」(1910年制作)は、水面の白い光の反射、風の動きが、画面にはない月の存在を知らせる。もう1点は関雪が得意としたサルの作品「秋桜老猿」(38年)で、墨と金で体毛を巧みに表現している。
これまで3点とも千葉県のDIC川村記念美術館に長く収蔵されていた。同展は5月13日まで。有料。