物語を読み解くように能面と樂茶碗が並ぶ特別展
能楽と茶の湯の共通性を探る特別展「能と樂茶碗 幽玄と侘(わ)び―形の奥にある美意識」(京都新聞など主催)が17日、京都市上京区の樂美術館で始まった。能面と樂茶碗の逸品46点で、物語の奥深さを映す。
同美術館開館40周年の記念展。室町時代に形をなした能楽と茶の湯は、枯淡でみやびな味わいを持ち、互いに影響を及ぼしてきた。館長の樂吉左衞門さんは「可能な限り装飾をそぎ落とした美の表現は、樂茶碗と能面に共通する」とする。
能「景清」にちなむ銘の初代長次郎作の黒樂茶碗「シコロヒキ」と十九世金剛氏但作の面、長次郎作の赤樂茶碗「獅子」には能「石橋」に用いられる面「顰(しかみ)」と、関連づけて展示されている。了入と旦入、慶入の三代で制作した白、黒、赤の樂茶碗「式三番叟(しきさんばそう)」なども並び、訪れた人たちは研ぎ澄まされた空間で作品に見入っていた。6月24日まで、有料。期間中ギャラリートークもある。同美術館075(414)0304。