外国人観光客の急増を受け、府警は3日、京都市内の人気観光スポットにある交番に、約30か国語の翻訳アプリが入ったタブレット端末などを配備した。日本語で話しかけると、翻訳された外国語が画面に表示される仕組みだ。交番で外国人の道案内や落とし物などの取り扱いが増えているためで、府警は「観光都市にふさわしい対応をしたい」としている。(寺田航、山本美菜子)
同市によると、2015年の同市内の外国人宿泊客数は、前年比7割増の316万人と過去最高を記録。各署でも相談が増え、八坂神社前の東山署祇園交番(東山区)では今年5~7月、約1900人の外国人が訪れたという。
八坂神社(同区)や二条城(中京区)、銀閣寺(左京区)近くの交番に配備。効果を検証しながら順次拡大していく予定だ。また、スマートフォンで読み取ると観光地や駅までの道順、交通手段などが外国語で表示されるQRコード付きの観光案内版も独自に作製。祇園交番にはすでに設置しており、年内にも府内全署や交番などに広げていく。
この日、同交番前で開かれた運用開始式には、府警幹部や地元商店街の関係者ら約15人が出席。地元・弥栄自治連合会の今西知夫会長は「最近は、外国人からゲストハウスの場所などを尋ねられることが多い。今後も何かあった時に頼りになる交番になってほしい」と歓迎。同交番で勤務する大槻竜一警部補(40)は「訪日外国人観光客らの安心と安全に尽くしたい」と英語で意気込みを語った。
また、外国人に人気の伏見稲荷大社(伏見区)が管内にある伏見署では、9月27日から翻訳アプリ入りタブレット端末を備えた移動交番車の運用をスタート。日中に警察官2、3人が人通りの多い場所に交番車を止め、相談に応じている。
同署は今後、紅葉や祭事でにぎわう他の観光地にも交番車の運用を広げる。米フロリダ州から訪れた会社員ニキータ・ケントさん(28)は「フロリダにはこういう交番はないし、とてもいい。警察官も親切でありがたい」と話していた。