南座(京都市東山区)の正面玄関を飾る名物の大提灯が2月、中東のアラブ首長国連邦(UAE)へと旅立つ。現地のイベントに招かれた京都の提灯職人とともに、日本文化や伝統工芸の魅力を伝える。海外での展示は初めてで、職人たちは「どんな反応が返ってくるか楽しみ」と期待している。
大提灯は高さ約2メートル、直径約1・2メートル。すべて職人の手仕事で作られ、赤地に極太の書体で「南座」の文字が躍る。京提灯を製造、販売する小嶋商店(東山区)が毎年2基を製作し、「吉例顔見世興行」を控えた11月25日に行う「まねき上げ」に合わせて交換している。
南座は昨年2月、耐震改修工事へ向けて休館に入り、年末のまねき上げは行ったが、大提灯の新調は見送った。今年に入り、本格的な工事入りに向けて提灯を取り外すことになり、報告を受けた職人の小嶋俊さん(31)が、UAEでのイベントへの出展を提案した。
小嶋さんは弟の諒さん(27)と2人で、2月4~6日、一般財団法人「日本国際協力センター」(本部・東京)の招きで、アブダビで開催する日本への留学を促すイベントに参加する。現地では提灯の展示や提灯づくりの実演、ワークショップなどを開く。人目を引く大提灯は、展示の目玉となりそうだ。
俊さんは「南座の大提灯は自分たちの代表作。全く予想外のことでとてもうれしい」と喜ぶ。南座は「海外で日本や京都への関心を高めるのに役立ててもらえるとは、歴史の重みを改めて実感している」と語る。