(台北 9日 中央社)台湾の水道事業者、台湾自来水の郭俊銘董事長(会長)ら同社幹部が9日、日本統治時代に建設された地下ダム「二峰シュウ」(屏東県)を視察し、先人の偉業を学んだ。(シュウ=土へんに川)
同地は本来、河川の流れが急なため、水が確保しにくい場所だった。伏流水を使って農業用水を安定供給しようと5年の調査期間の末、2年かけて建設され、1923(大正12)年に完成。94年の歳月が経過した今もなお現役だ。
屏東科技大学工学院の丁テツ士院長によると同ダムは、水量の多いときには一日25万トン、渇水期にも同7万トンの水が貯められるという。通常必要とされる沈殿、浄化処理がいらないほか、維持が容易で生態や環境を壊さず、経済的な側面もある。(徹のぎょうにんべんをさんずいに)
台湾では近年、台風の際に水源地の水が濁り、水道水供給が停止される事態が頻発したほか、渇水期には深刻な水不足に見舞われている。だが、同ダムはこういった問題点が起きにくい。郭董事長は建設当時に高度な施工技術があったことについて「奇跡だ」と驚きを語り、伏流水をいかに利用するかを同社の努力目標にしたいと意気込んだ。
同ダムでは近年、環境の変化で水量が少なくなる現象が起きていたが、県がおよそ1000万台湾元(約3700万円)を投じて修復を急いでおり、今年5月にも完成する見込みとなっている。