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野外石彫を分割・撤去へ 京都市美術館

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抗議活動する彫刻家たち




前庭の作品「空(くう)にかける階段’88-II」



 再整備事業を行っている京都市美術館(左京区)が、約30年間設置されている野外石彫モニュメントを分割して別の場所に移すことが分かった。美術館は周囲の汚染土壌除去を安全に行うため、作者の彫刻家富樫実さん(86)=北区=から了解を得たとしているが、京都の彫刻家たちは13日、「分割すれば作品でなくなる。美術品を壊すな」と美術館前で抗議活動を行った。

 富樫さんは成安造形大名誉教授で、市文化功労者。美術館前庭の作品「空(くう)にかける階段’88-II」は、高さ約11メートルの2本の石柱が空へうねって立ち上がる形が市民に親しまれてきた。美術館が制作を依頼し、88年に2千万円で購入。山口県・黒髪島の御影石を使った作品は瀬戸内海経由で船とトレーラーで運ばれ、当時、一つの石で造られた単体彫刻として日本一の高さと話題になった。阪神大震災の際、ひびが入り、富樫さん自身が修復した。

 美術館は、石彫周辺の土壌調査で鉛などが検出されたため、土壌の除去を検討。石彫は震度6弱で倒れる恐れもあり、周辺を掘り下げれば不安定になるとして、先月、分割して保管することを富樫さんに伝えた。石柱2本を計10個に分割し、敷地内の別の場所に再展示するが、元の形に戻すのは難しいという。
 一つの巨大な石の塊であることが特徴の作品。富樫さんは「分割されると意味は変わってしまう。残念だが、安全性ということからすれば仕方ない」と話す。川口伸太郎・市美術館副館長は「傷つけない方法を考えたが、建設業者らと話し合い、安全な大きさにしないと移動できないと判断した」としている。

 13日は、市美術館問題を考える会代表で彫刻家の貴志カスケさん(64)ら約20人が彫刻前で、市民に訴えた。「館蔵品は市民のもの。市は移設するためのあらゆる方策を検討したのか。見直してほしい」と声を上げた。

 現場は9日から工事が始まり、石彫の周りに作業用の鉄柱が打ち込まれている。


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