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平安末期のガラス製水滴発見 京都、国内2例目

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JR京都駅南側の京都市南区東九条上殿田町の発掘調査で、国内2例目となる平安時代末期のガラス製水滴の一部が見つかったと元興寺文化財研究所(奈良市)が19日、発表した。周囲では多様な産地の土器や、仏堂とみられる建物跡も確認された。調査地北側には当時、鳥羽天皇の皇女八条院(暲子(しょうし)内親王)の御所があったとみられ、八条院や周辺貴族に関連する寺院や物流拠点があった可能性があるという。

 同研究所が4月から調査している。ガラス製水滴は、注ぎ口部分(長さ2センチ、幅1・5センチ)が12世紀後半の層から見つかり、青みがかった色彩を残していた。水滴は、写経などする際、硯(すずり)に水を注ぐための文具(水差し)。

 奈良国立博物館の吉澤悟列品室長(考古学)によると、材料は鉛を含んだガラスで、複雑な加工が難しく、中国・宋で作られたとみられるという。同様の品は、12世紀に比叡山の経塚の副納品に1例あるのみ。吉澤室長は「当時は大変希少な輸入品で、かなり高い地位の人物しか使えなかった」と推測する。

 調査地では、中国産とみられる緑秞(りょくゆう)陶器のつぼや、東海地方の土器などの破片も多数出土した。7メートル四方の仏堂とみられる柱跡や池の跡のほか、仏堂の南側で無数の小さな柱穴が見つかった。

 調査地北側の京都駅周辺は平安末期、八条院の御所があったとされる。同研究所の佐藤亜聖主任研究員は「八条院や周辺の貴族に関連する寺院で、献上品の一時保管場所か地方出身者の宿所などが併設されていたと考えられる」と話す。

 龍谷大の國下多美樹教授(考古学)は「院政期は、平安京の朱雀大路から南の鳥羽院に延びる鳥羽作道(つくりみち)を人や物が行き来したが、玄関口から離れた場所にも物流拠点があった可能性がある。不明な点が多い平安京南部の土地利用を考える上で貴重な発見だ」と注目する。

 現地説明会は21日午後1時半~3時。荒天中止。
元興寺文化財研究所0742(23)1376。


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