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宇治の「松殿山荘」国重文指定へ 京都の建造物299件に

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(松殿山荘の本館玄関)



 国の文化審議会(馬渕明子会長)は20日、京都府宇治市木幡南山の近代茶道の修養道場「松殿(しょうでん)山荘」を重要文化財に指定するよう、林芳正文部科学相に答申した。近く答申通り告示され、建造物の重文は京都府で299件となる。(27面に関連記事)

 松殿山荘は、茶道の山荘流の流祖高谷恒太郎(宗範)が設けた本館や蓮斎(れんさい)、撫松庵(ぶしょうあん)など研修施設や茶室群の計12棟から成る。平安時代末期の関白、藤原基房の別荘「松殿(まつどの)」跡を含む敷地約39万6千平方メートルで、1919年から、高谷が亡くなった翌年の34年まで整備が続いた。

 高谷独自の「方円思想」に基づき、方形と円を組み合わせた造形が、建物の天井や窓枠、庭園など随所に施されている。近世以来の伝統技法を用いた独創的な建築群が「近代数寄者の思想を具現化した類いまれな近代和風建築」として評価された。

 松殿山荘を所有・管理する「松殿山荘茶道会」代表理事で、高谷恒太郎のひ孫にあたる平岡己津夫さん(69)は「宗範は統一した思想の下で、庭も含めてこれだけ大規模な建物を造り上げた。それが認められたのはうれしい。来年、宗範と山荘に関する講演会を開き、広く知ってもらいたい」と話す。


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