(高雄 29日 中央社)豊作の影響で産地価格の崩落が叫ばれている台湾産バナナ。主要産地の1つ、南部・高雄市旗山で産業振興に取り組む王継維さんは政府に対し「和牛は輸入解禁したのに、旗山産バナナの日本への大量輸出は難しいのか」と疑問を呈し、日本に輸出される台湾産バナナの競争力強化に向けて努力するよう呼び掛けている。
旗山区農会(農協)によれば、昨年のバナナの販売価格は1キロ当たり60台湾元(約230円)から110元(約420円)まで高騰したのに対し、今年は7~8元(約27~30円)まで下がっており、農家は赤字に苦しんでいる。地元のバナナ農家は来年の生産量調節に向け、すでに大根やパパイヤなど他の作物の生産に切り替え始めているという。
旗山産バナナの販売促進のため、バナナケーキの製造やバンドなど幅広く活動する王さん。旗山のバナナ農家の多くが小農で農業組織に加入しておらず、販路が限られていると話す。王さんは豊作にもかかわらず買い手がいないという状況から脱却するためにも、小さな力を集めて戦略的に販売をすることで農家を助けることができないか働き掛けている。
販売ルートの1つとして海外への輸出が挙げられるが、日本市場は競争が激しく、進出は容易ではない。日本では確かに台湾バナナが好まれているが、不況の影響で買い手が減っている上、人件費などのコストが低く、量や品質も安定しているフィリピン産などにかなわない現実がある。
台湾省青果運銷合作社高雄分社によると、台湾産バナナの日本でのシェアはわずか約3%だという