清水寺成就院で初公開されている月照が袖を通したかたびら
林光院で拝観できる猫のように愛らしい虎のふすま絵
幕末・明治期に活躍した山岡鉄舟の書(右から2番目)が陳列されている豊光寺
通常非公開の寺社15カ所が拝観できる「京の冬の旅 非公開文化財特別公開」が京都市内で行われている。明治維新150年やNHKの大河ドラマにちなみ、幕末・明治期に活躍した人物ゆかりの寺などを見学することができる。
東山区の清水寺成就院は勤王僧、月照が住職を務めた寺院。月照は幕府の追っ手を避け西郷隆盛とともに鹿児島県に逃れ、錦江湾で入水自殺したことで知られる。生前、袖を通した「かたびら」と呼ばれる着物を初公開するほか、西郷が着用したとされるかすりのひとえも並ぶ。また西郷が月照を悼み作った漢詩の掛け軸も陳列する。
上京区にある相国寺では塔頭2寺院が初めて拝観者を受け入れる。林光院のふすま絵は中国出身の画家藤井湧泉さんが手がけた水墨画で、猫のように愛らしい虎が描かれている。近くには蛤御門の変や鳥羽伏見の戦いで亡くなった薩摩藩士の墓もある。豊光寺には幕末・明治期に活躍した政治家山岡鉄舟の書や、同寺を明治15(1882)年に再興した僧荻野独園の肖像画などが掛けられている。同寺住職で臨済宗相国寺派の佐分宗順宗務総長(69)は「豊光寺には鎌倉期の古い仏像も祭っている。相国寺の長い歴史を感じてもらいたい」と話す。
特別公開は市観光協会(中京区)が夏と冬に実施している。