両岸関係について意見を交わす王希哲氏(中央)と馬英九前総統(右)
(台北 10日 中央社)馬英九前総統の事務所は9日、中国大陸の社会運動家、王希哲氏が7日に馬前総統を訪問し、両岸(台湾と中国大陸)関係について意見を交わしたと公表した。馬前総統は両岸の現状維持が現段階では最適だとする見解を表明。両岸統一については、平和かつ民主的に行われることが前提であり、台湾人の賛同が不可欠だと語った。
王氏は両岸関係について、国民党がかつて提案した「一国良制」による統一が最適だと主張。馬前総統は、両岸統一に向けた協議をしてはいけないことはないが、今ではなく先の話だとした。協議を始めるタイミングや機運も重要だとし、中国大陸が台湾に圧力をかけ続ければ、台湾人の恐怖心が増大するのは当然だと述べた。
馬氏事務所によれば、王氏は、台湾独立を主張する人々は日本を宗主国だと思っており、自らを日本人だと認識しているとの見解を示したという。馬前総統はこれを否定し、台湾独立を主張するのは、自身を台湾人だと感じている人々で日本とは関係ないと指摘した。
一部のメディアは王氏が中国大陸から派遣された「密使」だと報じていた。報道は、王氏の訪問の目的が馬氏に従来の「一国二制度」ではなく、両岸の人々が自ら制度を選択する「一国良制」による統一を目指そうという北京当局のメッセージを伝えることだったと指摘していた。