修復して四半世紀ぶりに展示された円筒棺。
円筒にぐるりと綾杉の文様が施されている(府立山城郷土資料館)
京都府宇治市の金比羅山古墳で出土した5世紀前半の円筒棺がこのほど修復され、木津川市山城町の府立山城郷土資料館で四半世紀ぶりに展示されている。スギの葉のように「←」の形が連なる「綾杉(あやすぎ)」の文様が施された全国的にも例が少ないひつぎという。
円筒棺は直径約50センチ、長さ約2メートル。1964年に出土した。破片をつなぎ合わせて91年に同館で展示後、館内の収蔵庫で保管していたが、自らの重みで崩れたという。
昨年度に元府立高教諭の男性の遺族から、男性の意志で文化財保護に役立ててほしいと府に寄付があり、寄付を活用して修復した。
同館によると、綾杉の文様が入ったひつぎは全国で他に2例しか見つかっていない。大型で副葬品もあったことから、地域の有力者を葬るために作られたとみられる。
円筒棺は館内で常設展示しており、同館は「古墳時代の工人の技をじっくりご覧いただきたい」と話している。入館料が必要。
(京都新聞)