列車の運行が見合わせとなり通勤客がまばらな中央改札口(6日・JR京都駅)
西日本で大雨が続いた6日、京都府内や滋賀県内各地で日常生活に大きな影響が生じた。JRが始発から主要路線の運転を見合わせる中、企業は出勤できない従業員の対応に追われ、やむなく別の手段で目的地に向かう人も。京都市と府北部を結ぶ主要ルートは遮断され、コンビニには商品が届かず、病院は医師が出勤できない事態に。避難所では住民が不慣れな場所で体を横たえ、無情の雨音を聞きながら不安な時間を過ごした。
夕方の京都駅(下京区)。電車の運行再開について駅員に説明を求めたり、座り込んでスマートフォンで情報収集する人が目立った。帰りの電車を待っていた会社員舛田清一さん(61)=草津市=は、朝に家を出てバスなどを乗り継ぎ、下京区の職場に着いたのは約6時間後だった。「部分的に運行するなど手はなかったのか」と不満げだった。
重要な用事があるため車で京都市内の大学に向かった4年溝健太さん(22)=大津市=は「安全のためには仕方ないが、これが続くのは困る」と話した。
JR西日本によると、運転再開には、小康状態を待って重点箇所を中心に区間のほぼ全線路を点検する必要があり、「断続的に強い雨が続くと、点検できずに運転停止が長引いてしまう」と説明する。
交通機関の乱れは企業活動にも混乱を引き起こした。平和堂(彦根市)の京都、滋賀の店舗では、勤務シフトを近場に住むパートに急きょ交代。京都生活協同組合(南区)は、本部職員を出勤者の少ない店舗に派遣して営業にこぎ着けた。
京都市と府北部を結ぶ鉄道、高速道路、国道が不通となり、南丹市八木町の京都中部総合医療センターでは、京都市や大阪府から通う医師44人が出勤できなくなった。医師全体の3分の2にあたり、眼科や呼吸器外科など5診療科が休診。麻酔科の医師も出勤できず、手術を延期した。同センターは「全ての交通手段の遮断は予測できず、厳しい状況になった」としている。
亀岡市内のコンビニは5日深夜から商品配送のトラックが到着しないため品薄となり、おにぎりやサンドイッチなどの棚が空になる店も出た。ある店の女性マネジャー(29)は「お客さんにご迷惑かけて申し訳ないが、どうしようもない。早く開通してほしい」と願った。
避難指示などが出た地域の住民らは、避難所で不自由な生活を強いられている。京都市北区の柊野学区では6日午前11時前に避難指示が出た。避難所の柊野小にはテレビや電子レンジが持ち込まれ、高齢者や家族連れが毛布を敷いて横になったり、持ち寄ったお菓子を食べたりして過ごした。夫婦で避難した早津一夫さん(69)は「毎日住んでいるところじゃないと落ち着かない。早く帰りたい」と話した。