泥で埋め尽くされた道路を台車でごみ運びする男児(8日午前10時11分、京都府福知山市大江町)
京都府北部の各地に被害をもたらした大雨から一夜明けた8日。大きな浸水被害が出ていた福知山市大江町河守では、住民や消防団員らが泥水のかき出しなど後片付けに追われた。昨年秋にも水害に見舞われた町内では、今回も多くの住宅や商店が被災。土砂で茶色く染まった無残な町の姿に、「またか」と声も聞かれた。
33世帯が暮らす大江町河守の新町地域は、15軒が床上浸水した。自治会長溝谷仁司さん(67)は「水害には慣れているが、今回は山側からの土砂が大量に流れ込んでおり、いつも以上に後片付けが大変」と額の汗をぬぐった。8日朝までに、地域内の水はほぼ引いたが、道路は大量の泥が堆積してぬかるみ、流木などのごみも散乱。住民や消防団員は、高圧洗浄機や重機をつかって洗い流していた。
自営業池上幸浩さん(54)の自宅兼事務所は、2階の床上約1メートルまで浸水。家族や親戚ら5人で、家の中に流れ込んだ泥水のかき出しや、使えなくなった家財道具の処分に当たった。池上さんは過去2回、2階までの浸水被害に遭ったといい「引っ越したい思いはあるが、思い出のつまったわが家。修理して住み続けるしかない」と複雑な心境を明かした。
会社員の山下英志さん(27)は、約1カ月前に同地域のアパートに引っ越してきたばかり。アパートは地面から約3メートルの高さまで浸水し、山下さんの住む1階部分はほぼ水没した。「水害の話は引っ越しの時に聞いたけど、まさかここまでとは。家電や家具も全部だめになった」と悲しげな表情を浮かべた。
大江町で唯一のスーパーマーケット「フクヤ大江店」にも、大量の水が流れ込んだ。水に流された商品棚や冷蔵庫がひっくり返り、食料品や雑貨などが店内一面に散乱。早朝から従業員6人が後片付けに当たったが、被害の大きさは想像以上で、副店長の渡邉昌子さん(61)は「住民の生活のためにもできるだけ早く復旧したいが、1カ月程度はかかるかも…」と申し訳なさそうに話した。