中華民国国旗を掲げる周小棠さん
(ニューヨーク 22日 中央社)中華民国国旗を撤去することが先月明らかとなった老舗華僑団体、米ニューヨーク遡源公所。同団体は現地時間19日午前、市内のビル落成90周年を祝う式典で、中華民国国旗の代わりに中国の五星紅旗を掲揚した。一方、ビルの外では、米国在住の中国人青年が一人で中華民国国旗を掲げ、抗議の意を示す姿が見られた。
台湾の外交部(外務省)、陳立国・北米司長は先月中旬、同団体が中華民国国旗を撤去し、8月から中国の五星紅旗を掲揚すると明らかにした。陳司長は、中国が台湾への圧力を強めていることに言及し、同団体の掲揚国旗の変更については、中国側が海外の華僑団体に対する統一戦線の施策を強化していることの表れだと指摘した。
家族と共に2年前に広東省から米国に移住してきた周小棠さん。この日、「中華民国万歳!」と叫びながら、通行人に小さいサイズの中華民国国旗を配るなどした。「五星紅旗は北京の独裁の象徴だ」と訴え、孫文が唱えた革命の理論「三民主義」に対する支持を示した。周さんは、旗は自費で製作し、抗議も個人的な行為だと話す。国旗を奪われそうになったり、この場を離れるように言われたりしたが、動じることなく、午後には仲間と合流し、抗議活動を続けた。
ニューヨーク遡源公所は、在ニューヨークの華僑団体の中心的組織「ニューヨーク中華公所」に所属する60の団体の一つ。この日の式典には中国の在ニューヨーク副総領事、邱艦氏が出席。中華民国を支持する華僑団体の代表の姿はなかった。
遡源公所とビルを1棟隔てた場所にある中華公所は、一貫して中華民国を支持している。この日、事務所の外には、中華民国国旗と共に米国の国旗が掲げられていた。中華公所の伍鋭賢主席は、同所では、式典や祝日だけでなく、1年中、中華民国国旗と米国国旗を掲揚していると紹介し、他の華僑団体もこれに倣うよう呼び掛けた。