本堂の拝観を停止している鞍馬寺では倒木が多く、境内の社が被害を受けた(左京区)

台風21号による倒木で大きな被害を受けた京都市内の社寺で、拝観を再開したり、募金の受け付けを始めたりするところが出てきた。ただ、行事の中止や延期を決めた社寺もあり、本格的な観光シーズンに向けてさらなる復旧が急がれる。
金堂の屋根などに被害が出た高山寺(右京区)では、境内の奥には入れないが、6日から国宝「石水院」のみ拝観を再開した。同寺は「境内は造園業者が作業を進めている。いつ片付くか分からない状況だ」という。
「醍醐の花見」で知られる醍醐寺(伏見区)では境内の倒木が多く、拝観を停止したが、庭園の清掃や倒木処理を進め、三宝院のみ7日から拝観を再開した。名物の霊宝館のサクラが折れるなど被害は大きく、花見シーズンが懸念されるという。上醍醐や境内、霊宝館の拝観再開はめどがたっていない。
鞍馬寺(左京区)も本殿など境内の奥を拝観停止とした。15日に予定していた恒例の「義経祭」は中止を決め、同寺は「とにかく参拝者の安全が第一。秋の紅葉シーズンには間に合うように復旧を急ぎたい」とする。平安神宮(左京区)では、拝観停止している「神苑」で19日に予定していた無料公開を延期する。拝観停止中の大覚寺(右京区)でも22~24日の「観月の夕べ」の中止が決まっており、秋の京都を彩る恒例行事に影響が出ている。
サクラの名所、平野神社(北区)では倒壊した拝殿の周囲をフェンスで囲み、境内を立ち入り禁止とした。14日から参道を整備して通れるようにするという。倒れた拝殿はできる限り使える部材を再利用して再建する方針で検討している。拝殿再建のために募金の受け付けを始めた同神社は「再建には資金が足りない。市民の方々に協力をお願いしたい」と話している。募金の問い合わせは同神社075(461)4450。