風格あるたたずまいを見せる天守
夜明けの日光を浴びて白壁がほんのりと赤みがかっていく。国宝指定の彦根城天守(彦根市)。ドローンを正面から北に旋回させると、大小の屋根が折り重なるように映った。近世城郭の建築美を今に伝える姿は、背後に広がる琵琶湖と絶景を織り成していた。
天守は1607年ごろの完成とされる。3層3階で、修復を繰り返し往時の状態をとどめる。年間約80万人が訪れる。
ドローンで天守に近づくと、曲線が美しい花頭窓が間近に迫ってきた。棟の鯱(しゃち)瓦や金箔(きんぱく)の金具など、上品な装飾までよくわかる。毎朝、散歩に訪れる近くの新川章介さん(73)は「大きい天守ではないが風情がいい」。
眼下に城下町だった市街が広がる。400年間変わらぬたたずまいで、静かに市民の営みを見守る。
(京都新聞)