「さいごの一杯」をテーマに、若手作家らの発想で生まれた作品の展示
「さいごの一杯」をテーマに、若手作家らの発想で生まれた作品の展示(京都市中京区・アートスペース余花庵)
いつか迎える最期の時、自分なら誰と、どんな器を使っているだろう-。若手の漆作家らがそんな想像を膨らませながら作った器の展示が21日から、京都市中京区寺町通御池上ルの「アートスペース余花庵(よかあん)」で始まった。
本年度で創立45周年を迎えた「京都漆器青年会」(事務局・左京区)が主催し、「いつか、さいごの一杯」をテーマに会員ら31人が出品した。
作り手がそれぞれの「さいご」に向き合った時の思いを伝えようと、会場には作品とともに作り手のメッセージを記したボードが設置されている。
家族を亡くした経験のある人は、明日やその先を見据えて闘病していた姿を知るからこそ「最期の一杯は決められないし、決めたくない」とボードに記載。自分の死後、「あの人はいつもこれで飲んでいたなぁ」と思い出してもらえるよう作った酒器を出品した。
会場を彩る品々には、最期の時に1人では寂しい-との思いで作られた二つで1組の器などもあり、伝統の技法とユニークな発想の組み合わせの妙が目を引く。
青年会の水内倫子さん(37)は「形も技法も同じものは二つとない作品展。漆の表現の幅広さを知ってもらう機会になれば」と話す。
26日まで。午前11時~午後8時(26日は午後4時まで)。無料。
余花庵TEL075(212)9793。