(台東 19日 中央社)命の尊さを学んでほしい――
台東地検では、飲酒運転で社会奉仕命令を受けた受刑者を台東市立葬儀場での清掃作業に従事させ、矯正や更生を図る取り組みが進められている。直接死に向き合う現場での作業で、受刑者からは「もう飲んだら乗らないよ」との声が上がっている。
対象となるのは、罰金支払いと社会奉仕命令を受けた飲酒運転の再犯者の一部。遺体保存用冷蔵庫や解剖台などの清掃が割り振られる。直接遺体を目にすることはないが、厳粛な場の張り詰めた空気がこれまでの作業場所と大きく異なる点だ。
「へっちゃらだ」と話す受刑者がいる一方で「ちょっと変だよね」「怖くないといったらうそになる」と語る人も。台東地検は、葬儀場で体験する「命の教育」を通じて、飲酒運転の結果に生まれる無念さをわかってほしいと効果を期待する。
台東では飲酒運転による事故が後を絶たない。関係者は「捕まったのは運が悪いのではなく、幸運にも死神の迎えから逃れられたということ」と語り、飲酒運転の撲滅を願っている。