七福神をテーマに4年がかりで鉾の四方を飾る懸装品の新調を進め、
布袋を描いた後掛の完成で4面すべてがそろった(12日、京都市中京区・菊水鉾会所)
祇園祭の菊水鉾保存会(京都市中京区)が布袋をテーマにした新しい後掛を製作した。同保存会は前掛や胴掛(2面)を含む全4面の懸装品(けそうひん)を七福神をモチーフに4年がかりで新調。後掛の完成ですべてがそろい、注目を集めそうだ。
後掛は、縦2・57メートル、横2・63メートルの綴織(つづれおり)。涼やかな水色で表現した波の上を、布袋が乗る大きな袋を唐子(からこ)が鉾を曳(ひ)くように動かす様子が描かれている。
菊水鉾は1864(元治元)年の禁門の変によって焼失した。1953(昭和28)年に再建され、「昭和の鉾」と言われる。保存会は、2013年の鉾再建60年を記念し、傷んできた懸装品の新調を決定。古くは「夷山(えびすやま)」を出した経緯から七福神にちなんだ図柄を選び、江戸前期の絵師狩野岑信(みねのぶ)筆「七福神図巻」(板橋区立美術館所蔵)を参考に、本金糸をふんだんに使った懸装品に仕上げた。製作は川島織物セルコン。費用は4面計約8千万円。
猪田浩市理事長(69)は「昭和の鉾に平成の懸装品を掛けることができた」と喜んだ。7月12日の曳初(ぞ)めから、宵山期間、前祭(さきまつり)の山鉾巡行を通して鉾を飾る。