昭和初期の名建築として知られる京都府大山崎町大山崎の「聴竹居(ちょうちくきょ)」で29日、「新緑を愛(め)でる会」があった。通常と違い見学が予約不要とあって、午前中から多くの人が訪れ、環境工学を駆使した実験住宅に目を凝らしていた。
管理を担う一般社団法人「聴竹居倶楽部(くらぶ)」が、新緑と紅葉の時季に企画している。
参加者は室内で、通気口の多用や採光に配慮したひさしなど涼しさを確保する構造について倶楽部のメンバーから解説を受けた。サンルームの窓は見晴らしを得るために中央部の面積を広くする工夫が施されているといい、参加者は緑で埋まった眺望に見入っていた。
大阪府吹田市から来た安岡珠貴さん(48)は「住むためだけではなく、家族や景色への愛情がこもっている。紅葉の季節にまた来たい」と話した。
聴竹居は、京都帝国大教授だった藤井厚二(1888~1938年)が設計し、28年に建設。欧米のモダニズムを取り入れた和洋折衷のデザインが施されている。