疾走する馬の上で曲乗りなどを披露する「駈馬(かけうま)神事」が5日、京都市伏見区の藤森神社であった。大技が決まると、詰めかけた参拝者から大きな歓声と拍手が起こった。
市無形民俗文化財に指定されている駈馬神事は、781年に早良親王が陸奥国への出征に際して戦勝を祈願したことにちなむ。明治期からは毎年5月の藤森祭で実施されている。
藤森神社駈馬保存会の乗子(のりこ)たちは、約180メートルの参道を駆け抜ける間に妙技に挑んだ。馬体の横に身を乗り出して敵の矢を避けるような体勢をとる「手綱くぐり」や、後方の味方に情報を送るために馬上で木札に字を書く「一字書き」などが成功すると、大きなどよめきが起こった。
一字書きで、左右を反転させた「馬」の字を書いた乗子の会社員斉藤仁尚さん(35)は「『馬』の下の部分はうまく書けました」と、観客に木札を見せながら笑顔で汗をぬぐっていた。