新緑がもえる境内で鳥居の朱色が映える
モクモクと湧き立つ夏雲のように、若葉が生い茂り、朱色の鳥居を覆い尽くしそうに見えた。京都市内を流れる鴨川と高野川の合流点に広がる下鴨神社(左京区)の「糺の森」。全貌を捉えようと上空70メートルまで小型無人機を上げてみても、背後の街並みがわずかしか写らないほどの存在感だ。
神社の歴史は、紀元前にさかのぼる記録が残る。南北400メートルに伸びる表参道や、社殿の周りを広大な森林が囲む。東京ドーム3個分に相当する12万4千平方メートルに、約40種4700本が植わる。
樹齢400年以上の古木もあり、太古の原生林の面影を残す。一方、植生を継承していくため落葉樹の苗を植樹する活動を続けている。
京都三大祭りのひとつ葵祭(15日)を間近に、新緑のトンネルは輝きを増す。巡行では牛車(ぎっしゃ)や腰輿(およよ)が連なり、王朝装束を着た500人以上が練り歩く。薫風爽やかな鎮守の森は、華やかで荘厳な雰囲気に包まれる。