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真宗大谷派、時代遅れの労務管理 残業代不払い問題/京都

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真宗大谷派本山の東本願寺



真宗大谷派(本山・東本願寺、京都市下京区)が、同寺境内にある研修施設「同朋会館」で門信徒の世話役「補導」として働いていた非正規雇用の僧侶職員に残業代を支払っていなかったことが4月末に発覚した。その後、正規職員に対しても、残業させるための労使協定が労働基準法の要件を満たしておらず、出先機関では労使の協定自体がなかったことが分かった。今後、労基法に則した労使協定を結ぶというが、同派の労働法制に対する認識の欠如が露呈した形だ。

 現在は退職している「補導」の男性によると、2013年春の採用の約半年後、同派と「真宗大谷派職員組合」が非正規職員に残業代を支払わないという内容の覚書を結んでいると知った。最大で月130時間の残業をしたこともあり、外部の労働組合「きょうとユニオン」(南区)に相談。個人加入し、2015年11月から17年1月にかけて団体交渉を数回に渡って行った。

 大谷派は、残業代の不払いを認め、非正規の僧侶職員だった男性2人に、計約660万円を支払ったが、当初は支払いを拒んだという。男性は「宗教心があれば訴えは起こさない、と言われたのがつらかった」と話す。男性側が労働基準監督署に相談すると告げると支払いが決まったという。

 労基法は労働時間を週40時間までとし、雇用側が従業員に残業させる際は、過半数で組織する労働組合か、過半数を代表する労働者と労使協定(三六協定)を結ぶよう義務付けている。

 大谷派は、本山の正規職員に原則月20時間を上限に残業させることができる協定を同職員組合と締結しているが、組合加入率は半数に遠く及ばない。全国に30ある出先機関「教務所」では「三六協定」を結ばず残業させていた。

 これらの協定や覚書は約40年前に締結された。年3回更新する機会があったにもかかわらず、労使ともに見直すことはなかったという。同派の下野真人総務部長は「かつての時代のままで変化に対応してこなかったことが原因だ」と話す。

 労働問題に詳しい渡辺輝人弁護士は「宗教法人であっても、賃金をもって法人の業務に従事する人は労働者に該当する。急成長した企業ならともかく、発足から時間を経た事業所では法令順守が徹底されているのが通常だ」とあきれる。きょうとユニオンの服部恭子書記長は「仏教宗派は労働法への認識が甘い。宗教活動と労働を区別しようと呼び掛けたい。苦しむ人を助けるのが宗教の役割ではないのか」と話した。


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