(京都市左京区・細見美術館)
「末法展」(同展実行委、京都新聞など主催)の内覧会が16日、京都市左京区の細見美術館で開かれた。招待客は、仏像や曼荼羅(まんだら)など仏教美術の優品が放つ荘厳な美の世界に浸った。
1052年に仏教の教えが衰える末法の世に入ると信じた平安貴族は極楽往生を願ったという。同展は、混沌(こんとん)とした現代にも通じる末法の世をテーマに、あるコレクターが集めたという約80点を紹介する。
シャープな彫りと豊かな金工装飾の弥勒菩薩(みろくぼさつ)立像、風鐸付経筒(ふうたくつききょうづつ)、経典断簡(きょうてんだんかん)など平安・鎌倉期の美術品のほか、長谷川等伯や司馬江漢らの絵画から、三十三間堂の仏を題材にした現代美術作家杉本博司さんの映像まで、多彩な作品が並んだ。
同展実行委員長でライターの橋本麻里さんは「数十万人動員とか、数億円で落札とか定量的な指標でなく、個人の美意識に基づいたコレクション。さまざまな仕掛けを読み解きながら楽しんでほしい」と話した。
17日から12月24日まで。展示替えあり。月曜休館、有料。