織物メーカーのクスカ(京都府与謝野町)は、手織りの技法で古布を織り込んだ「裂き織り」を素材に用いたスニーカーの販売を始めた。独特の立体感と高級感が特長で、同社は「メード・イン・タンゴの新しい手織りを世界に発信したい」としている。
裂き織りは、裂いた布を横糸に用いる手法。古くなった布の活用法として江戸時代に生まれた。楠秦彦社長が3年前にスニーカーへの活用を着想。専用の織機を開発し、職人も育成した。
開発したスニーカーは、ひものないスリッポンタイプ。明治初期の着物をほどいて染め直した上、1センチ程度に裂き、ポリエステルの布と組み合わせて甲の部分を形作った。側面やかかとは皮を使用。仕上げは熱と圧力で靴底を接着させる伝統的な製法を選んだ。
同社は丹後ちりめんの白生地メーカーだったが、2010年に業態を手織り製品の製造販売に切り替え、ネクタイやストールを百貨店などに卸している。楠社長は「機械では作れない深みを生かすビジネスモデルをつくりたい」と話している。
青、紺、黒の3色。サイズは23~27センチ。4万9680円。問い合わせは同社0772(42)4045。