完結した「冷泉家時雨亭叢書」を紹介する冷泉為人さん
歌聖の藤原俊成・定家親子を祖先とする冷泉家に伝わる古典籍や古文書の影印本(写真複製本)の刊行が今月の100冊目で完結し、25代当主の冷泉為人・冷泉家時雨亭文庫理事長が22日、京都市上京区の同家住宅で発表した。「原本に近い形の京都文化の粋を、歴史と文化の継承に役立ててほしい」と期待した。
冷泉家では、平安時代後期以降の和歌集の写本や当主の日記などを受け継いでいる。同文庫が1981年に設立され、国宝5件や重要文化財48件を含む国内有数のコレクションの保存と公開に取り組んでいる。
その一環で、影印本「冷泉家時雨亭叢書(そうしょ)」を92年から刊行してきた。並行して行った調査研究で、鎌倉時代の写本や、端本の欠落部などを発見し、当初60冊の予定は拡大。最終的に100冊となった。俊成筆の「古来風躰抄(ふうていしょう)」(国宝)や、定家筆の「古今和歌集」(同)など約650点を収録している。
冷泉理事長は「傷みがひどく、修理しながらの撮影もあった。多くの人の支えでひと区切りできた。まだ膨大にある収蔵品については、引き続き調査を続けたい」と話していた。