原住民(先住民)族の日にあたる1日、蔡英文総統は総統府(台北市)で原住民に対し、これまでの不平等な扱いを謝罪した。
原住民らは数千年前からこの地に暮らしていたとされる。だが、漢民族の移住後はたびたび蔑視(べっし)されたほか、「原住民」の名称が決まる1994年8月1日まで、差別的意味合いを持つ「山地同胞」と呼ばれていた。
蔡総統は、日本統治時代の同化・皇民化政策や戦後の中華民国政府の方針で、原住民が持つもともとの言語や文化、尊厳が失われたことなどに言及。「われわれはきょう、前へ踏み出さなければならない」として政府を代表し謝罪した。また、総統府内に専門の委員会を設置し、原住民の地位向上や和解、共存共栄などを目指すとした。
総統府には原住民16族の代表らが出席して謝罪を受け入れた一方、外には50人以上の原住民が集まり政府の姿勢を批判。具体的な取り組みが行われていないなどと訴え、警察と小競り合いになる一幕もあった。
原住民族の日は2005年に制定。アイデンティティーと抗戦の歴史を記念し、台湾の人々に正確な理解を促す日とされている。