京都市下京区の東本願寺(真宗大谷派本山)で営まれている報恩講は28日最終日を迎え、僧侶たちが体を激しく揺り動かしながら念仏を唱える「坂東曲(ばんどうぶし)」が行われた。宗祖親鸞の木像が置かれた御影(ごえい)堂には多くの門信徒たちが詰めかけ、僧侶たちの動きに見入った。
坂東曲は、鎌倉時代から南北朝時代に関東地方の僧侶たちが始めたとされる。親鸞が越後(新潟県)に流罪になった際の船上の様子を伝えるともいわれるが、詳しいルーツは不明という。現在では、親鸞をしのんで命日の同日にのみ行う。
「堂衆」などと呼ばれる僧侶ら約60人は、正座したまま上半身を前後左右に揺らしながら、親鸞が平易な言葉で教え記した「高僧和讃(わさん)」を堂外まで響き渡る大きな声で読み上げ、「南無阿弥陀仏」と独特の節回しで唱えた。
この日は、約6千人の参拝者が詰めかけた。お堂の内外を仕切る障子が取り払われ、僧侶たちの動きを一目見ようと人垣ができた。同寺の報恩講は21日に始まり、8日間で計約3万7千人が参拝した。