障害者が、障害を理由に飲食店などの入店やバスの乗車を拒否された事例が、京都府内で2016年度に少なくとも5件あったことが、府の調査で分かった。府は条例で障害を理由とする不利益な扱いを禁止し、可能な限り対応する「合理的配慮」を事業者に求めているが、条例の認知度は依然低い。中には障害者の支援団体が拒否事例に関与していたケースもあり、府は条例に基づき指導した。
府によると、盲導犬を連れた視覚障害者が京都市内の飲食店で入店を拒まれたほか、京都市内の飲食店を訪れた車いすの2人が、店内に空席があるにもかかわらず、「1人はいいが、2人はほかの客に迷惑がかかる」と入店を断られた。府南部のスーパー銭湯では、衛生上の問題を理由に車いすでの来場を拒否されたという。
障害者支援団体が関わったのは、障害者のスポーツイベントに参加するため車いすの利用者が、送迎バスを手配した障害者支援団体に乗車を求めたところ、バスが車いすに対応していないことを理由に断られた事案。京都市内で、車いす利用者であることを理由にコンサートに参加できなかったケースもあった。いずれも府が指導した結果、利用が認められた。
府は昨年4月施行の障害者差別解消法に先行して、「障害のある人もない人も共に安心して生き生きと暮らしやすい社会づくり条例」を15年4月に施行した。15年度の拒否事例は2件だった。
府が今年8月に実施した調査では、条例を知っている府内の障害者は1割に満たなかった。府障害者支援課は「条例の認知度を高め、障害を理由に不利益を被ることのない社会づくりに努めたい」としている。
■滋賀でも1件
滋賀県でも16年度に、障害者が飲食店への入店を拒否された事例が把握できるだけで1件あった。県によると、長浜市内の飲食店で車いすの利用者が「車いすでは入れない」と拒絶され、店側は現在も県や市の指導に応じていないという。