出掛ける前に、スーツケースを預ける観光客
京都を訪れる観光客から空港や施設で手荷物を預かり、ホテルなどに配送する「手ぶら観光」のサービスが広がっている。1日には、全国の郵便局で初めて京都中央郵便局(下京区)が運用を開始。観光への利便性向上や公共交通の混雑緩和に期待が寄せられている。
JR京都駅西側に位置する同郵便局の「手ぶら観光カウンター」は、1日で最大300個の手荷物の受け付けを見込む。一時預かりは午前9時~午後6時までで一つ600円。配送は同1500円で、市内14ホテルと提携する。午前9時~正午までに窓口に渡すと、当日午後6時までに届けてもらえる。
この日、両親がロシアから観光に訪れたというビクトリア・トルストアさん(48)=京都市=は「すぐに京都を案内したかったが、スーツケースが邪魔でコインロッカーを探すのも大変だった。これで楽に紅葉を見に行ける」と喜んだ。
市内では、増加傾向にある訪日観光客が大型のスーツケースをバスや電車内に持ち込み、混雑に拍車を掛けている現状がある。手ぶら観光は、国交省が2014年から推進し、京都駅周辺の6カ所を含め市内に窓口が14カ所開設された。多いところで京都や滋賀など約500のホテルや旅館に配送できる。
ただ、関西空港と市内のホテルを直接結ぶ窓口はまだ1カ所しかない。利用も日本人客が中心だ。外国人客への周知不足が要因に挙げられるほか、増え続ける簡易宿所やゲストハウスとの提携にも課題が残る。
市観光MICE推進室は「行楽シーズンには窓口に長蛇の列ができるため、今後も増設を後押ししていきたいが、立地や面積など条件面の課題も多く、検討が必要だ」と話している。