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京都のホテル建設過熱に警戒感 東京五輪後が鍵に

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建設工事が進むホテルの開業予定地(京都市南区)



京都市内のホテル建設は2、3年前から過熱し始めたが、今年に入って警戒感も出ている。右肩上がりだった宿泊料金の伸びは鈍化しており、2020年の東京五輪前には建設のペースが落ちるとの見方もある。観光関係者はホテルの増加を歓迎するが、市民からは生活への影響を懸念する声も出ている。

 ■高額投資、回収に懸念も
 京都市内を訪れる訪日外国人観光客はビザ発給要件の緩和や円安、京都人気の高まりを受けて急増してきた。旺盛な宿泊需要に加え、歴史的な低金利も相まって、他府県の鉄道や不動産、投資会社などが融資を積極的に受けて市内にホテルを進出させてきた。
 
しかし、市内の不動産関係者は「メガバンクはホテル融資に慎重になってきたと聞く」と打ち明ける。ホテルラッシュの影響で地価が高騰。ホテルの増加で競争が激しくなれば、投資費用の回収も難しくなると見られるからだ。この不動産関係者は「これからホテルの進出は頭打ちになるのではないか」との見方を示す。

 風向きの変化は、宿泊料金にも表れている。英国のホテル市場調査会社STRの調べでは、販売可能な客室1室当たりの売上額を示す客室収益指数は、16年に前年比で11・7%伸びたが、17年は4・4%増にとどまった。

 市内のあるホテル支配人は「外国人観光客の急増で『京都は泊まれない』と評判が広がり、国内客が他府県に流れている。そのため、各ホテルが料金単価よりも稼働率を重視するようになっている」と分析する。

 今後の見通しについて、ホテル関係者が気をもむのは、東京五輪後の外国人観光客の動向だ。急減するようであれば、収益性が一気に低下する。市観光協会は「五輪で日本の知名度が上がる。ホテルが増えれば都市の魅力も高まるので、観光客はそう減らないだろう」としながらも「ホテル間のサービス競争が起こるので、独自性を磨くことが必要になる」と指摘する。

 別のホテル関係者は「外国人客が減っても他府県に流れた国内客が戻ってくる」として、東京五輪終了後も宿泊料金は急落しないと予想する。

 ■市民、日常生活影響を心配
 相次ぐホテル計画に、住民らからは日常生活への影響を懸念する声も出ている。
 「建設計画を決めた後に説明されてもどうしようもない」。京都市下京区でギャラリーを経営する女性(60)は割り切れない思いを抱く。

 近隣に2棟のホテル計画があり、完成すれば時間帯によって日陰に入ると説明をされた。日当たりが悪くなることに加え、騒音やゴミ捨てのトラブルが多発しないか心配する。「観光客が京都を訪れてくれること自体は悪くないが、市が無計画にホテルを誘致しているのが問題。もっと住民と共存できるようにすべきだ」と訴える。

 また、市内の不動産仲介会社の会長も近年、一部の施工業者が住民への説明を十分にしないままホテル建設を進めていると指摘。「乱開発気味になっている。京都で培われたまちづくりのルールを守りながらホテルを増やさないと、住民が困る事態になる」と警鐘を鳴らす。


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