台湾周辺で飛行訓練を行う中国大陸の軍用機Y8=国防部提供
(台北 3日 中央社)人民解放軍の遠洋飛行訓練が活発化している。中華民国空軍の退役操縦士は、人民解放軍の訓練が成熟するにはまだ時間がかかるとの見方を示した上で、中華民国空軍が防御型の戦術を固持し続けることは「弱腰」に見えると危機感を示した。
こう指摘するのは、国防大学助教授級スペシャリストの王長河氏。かつて国産戦闘機IDF(経国号)中隊中隊長を務め、ミラージュ2000などを操縦した経歴を持つ。
王氏は、人民解放軍機が中国大陸の防衛ライン「第1列島線」を突破し、西太平洋に向かう飛行訓練を行う際、雲より上の高度で飛行している点に言及。これは防御的な進出であり、攻撃的なものではないとの見方を示し、現在の動きは様子見であり、「成熟までにはもう少しかかる」と見解を述べた。次の段階に進んだ場合、低空飛行や夜間飛行が行なわれる可能性があるという。
一方で、遠洋訓練は自信の表れだとし、台湾側は油断をすべきではないと警鐘を鳴らす。空軍が限られた狭い空域に自分を押し込め、外に出ようとしないのは台湾の弱腰を見せるだけだと語り、王氏は蒋介石・蒋経国政権下で「漢賊不両立」(漢・国民党と賊・共産党は両立しない)が唱えられた時代の元操縦士としての持論を展開した。
国防部が先月下旬に公表した国防報告書によると、人民解放軍が台湾南方のバシー海峡、または宮古海峡を通過して西太平洋に出る遠洋飛行訓練を行った回数は2016年8月から2017年12月中旬までで23回に上る。そのうち昨年7月以降が17回と急増している。