行政院(内閣)食の安全オフィスの陳吉仲副執行長
(台北 3日 中央社)台湾が2011年3月の東京電力福島第1原子力発電所事故以降、福島など5県で生産・製造された食品に対して続けている禁輸措置について、行政院(内閣)食の安全オフィスの陳吉仲副執行長は2日、政策調整のめどは立っていないとした上で、消費者に対し、輸入を徐々に正常化している世界各国の対応を直視するよう理解を求めた。中央社の電話取材で述べた。
日本産食品の禁輸措置をめぐっては今月1日、日本と中国大陸の両政府が撤廃や緩和に向けて本格的に協議する方向で調整に入ったと共同通信によって報じられた。陳氏の発言はこの報道を受けてのもの。
陳氏は、中国大陸も輸入を解禁すれば、異なった対応を取る台湾はますます少数派の市場になると話す。米国を含む各国が規制対象を特定の地域ではなく、高リスクの品目としていることに触れ、放射能汚染の危険性は風向きや海流、地下水の循環などによって生じるものであり、特定の行政区と関係があるとは限らないと指摘。また、放射性物質を吸収しやすい野生キノコなどは日本国内でも市場に出回っていないと付け加えた。
日本の農林水産省が公開している資料によれば、昨年12月11日現在、福島を含む一部地域の全ての食品に対して輸入停止措置を行っているのは、台湾、中国大陸、シンガポールの3カ国・地域のみ。韓国や米国、ロシアなど6カ国・地域も輸入停止を続けているが、対象は一部地域の特定品目のみとされている。台湾は、福島、茨城、栃木、千葉、群馬の5県で生産・製造された、酒類を除く全ての食品を禁輸としているほか、その他42都道府県の食品についても産地証明書の添付を義務付けている。