渋谷通。復旧作業にあたる女性や大八車が映っている
(村中秀光氏撮影、村中修氏所蔵、京都女子大提供)
1945年1月16日にあった「馬町空襲」の被害の様子を伝えようと、京都女子大(京都市東山区)の学生が当時の写真入り被害地図を作成した。初公開となる写真もあり、学内図書館で写真パネルと地図を一般公開している。
空襲当時に東山区今熊野で写真店を営んでいた男性(故人)が撮った写真や、戦前に系列の京都幼稚園に通っていた地元の女性の手元にあった写真が基になっている。
男性の孫にあたる同区在住の写真家村中修さんが、祖父の遺品のなかから空襲直後に撮った写真のネガフィルムを発見。同大学文学部の坂口満宏教授(日本史)に写真の画像データを提供し、坂口教授が日本史ゼミの3年生17人とともに昨年秋から写真を分析した。
初公開の写真の中には「下京区渋谷通東大路東入三丁目下ル上馬町」と書かれた町名表示板が写り込んでいるものも。通りのがれきを片付けるかたわら立ち話をする女性たちの様子や、園舎が大破した京都幼稚園など、空襲から数日後の街の様子を克明に伝えている。
坂口教授と学生らは、既存の資料などを参照したほか写真を手に実際に地域を歩き、当時の面影を残す場所を突き止めては地図に落とし込む作業を続けたという。地図を手に持って実際に地域を歩けるよう、A3サイズも会場で配布している。坂口教授は「空襲の事実を多くの人に知ってもらうと同時に、当時を知る人からの情報も得られれば」と話している。
27日まで、無料。午前9時~午後8時(土曜日は午後6時閉館)、日曜休館。