京都大iPS細胞研究所長の山中伸弥教授が24日、京都市内で講演した。市民約1300人を前に同研究所の助教による論文不正に触れ、「信頼が1日で失われた。申し訳ない」と謝罪。自身の進退については「再発防止のシステム構築や寄付者への説明などで、所長の職をしっかり果たしていきたい」と話した。
不正発覚の前から開催が決まっていた京都商工会議所主催の講演。山中教授は冒頭、「きょうは何を話したらいいのか難しい」と切り出し、市民からの寄付金が助教の研究にあてられていたことを説明した。「せっかくの寄付なのにこんな使い方をして、今後も平然と募り続けるのか。最良の方法を探したい」と語った。
医学研究の道に入ることを後押ししてくれた亡くなった両親との思い出に触れ、「今のような状況でこそいてほしかった。何て言ってくれるだろう」と吐露する場面もあった。
iPS細胞(人工多能性幹細胞)を使った再生医療については、目の病気の治療などで臨床応用に入りつつある現状を報告。創薬分野の重要性も強調した。その上で、「iPS細胞で病気を克服するというビジョンのためにこれからも頑張る」と締めくくった。