陳謝する大久保市長(彦根市役所)
滋賀県 彦根市は24日、市役所本庁舎(同市元町)の耐震補強・増築工事の契約で、市と設計、施工業者の間で一部工事を行わない「裏契約」があった、と発表した。工事契約に関して「予定価格その他の条件変更はできない」と定める地方自治法に違反する疑いがあるとしており、事業の担当者だった川嶋恒紹副市長が24日付で辞任した。市は懲罰審査委員会で詳細を調べる。
工事は2019年3月の完了を見込んでいるが、予定がずれ込んだり、計画の内容通りに進まない恐れも出ている。
市によると、工事は当初、競争入札で業者を決める予定だったが、市の見積額と業者の入札額に約10億円の隔たりがあったため昨年5月に2回行った入札はいずれも不調に終わった。
このため市は随意契約に切り替えて翌6月22日に岐阜県大垣市の業者と29億3500万円で工事契約を締結した。その際、空調や外構など約20項目の工事を取りやめることを前提とした「工事分離」の提案が業者側からあり、受け入れたという。
地方自治法では、いったん決めた予定価格などは変更できず、入札が不調に終わった場合は、議会承認を得た上で変更する手続きが必要だった。
市は、今後の工事の進め方について業者と交渉していくとしており、大久保貴市長は「市民の皆様に心からおわびします」と陳謝。「裏契約」については「自分は知らなかった」とした上で、「時間的な問題がある中で、何とか工事を成し遂げたいとの思いがあって結んだのでは」と推察した。