(台北 12日 中央社)6日夜に発生したマグニチュード6.0の地震で大きな被害が出た東部・花蓮県は、景勝地の太魯閣(タロコ)渓谷を始め、豊かな自然を擁し、観光地として人気の地域。だが、旧正月(春節)連休中のかき入れ時を目前に、宿泊施設や列車はキャンセルが相次ぎ、観光業への打撃が懸念されている。花蓮県観光旅館商業同業公会(協同組合)の梁愛迪理事長によれば、現地の観光業の損失は6月までで、少なくとも80億台湾元(約296億円)に上ると試算されている。
花蓮で民宿を営む業者によると、地震発生後、旧正月連休期間にあたる旧暦元日(16日)から21日までの予約は、9割がキャンセルされた。花蓮県旅館商業同業公会(協同組合)の陳義豊理事長は、ホテルだけでなく、飲食店、タクシー、旅行会社などあらゆる業種に影響が出ていると嘆く。旧正月明けの人員削減実施を検討しているホテルがあるとの情報も耳にしているという。
台湾鉄路管理局(台鉄)によれば、東部幹線の払い戻しは8日から10日までの平均で1日当たり1万枚近くに上った。これは通常より2割ほど多いという。ただ、旧正月を控え、里帰りのために乗車券を求める人も多いため、払い戻しの割合は徐々に減っていくだろうと台鉄はみている。
同公会が推進した台鉄の観光専用列車「洄瀾之心」は10日に運行開始を予定していたが、地震の影響で7月に延期されることが決まった。同列車は観光振興を目的に企画され、花蓮での宿泊と乗車券をセットにして販売。台北―花蓮間で毎日1往復が予定されていた。
陳理事長は、放出されていないエネルギーがまだあることが地震の専門家らから指摘されているのに触れ、「これ以上誇張しないで。実際の行動で花蓮に愛を届けてほしい」と花蓮への来訪を呼び掛けた。