タブレット端末を導入する店舗が増えている(京都市右京区・嵐山商店街)
中国の旧正月に当たる「春節」を挟んだ大型連休(15~21日)に入った。京都市内の商店街や百貨店、ホテルは、中国人客の受け入れ拡大に向け、中国で普及しているスマートフォンの電子決済サービスを導入し、中国語ができるスタッフも拡充。買い物の利便性を高めることで、観光消費の取り込みを図っている。
京都市右京、西京両区の嵯峨嵐山地域の商店主でつくる「嵯峨嵐山おもてなしビジョン推進協議会」は、大型連休期間の21日まで春節キャンペーンを展開している。中国の電子商取引大手アリババグループの電子決済サービス「アリペイ」などが利用できるタブレット端末を、日本の代理店から無料でレンタル。商店街の10店ほどに順次設置している。
キャンペーン中はクレジットカードVISAの運営会社と共同で訪日客向けに抽選会を催すほか、周遊性を高めるため、店舗や抽選会場を5言語で紹介するマップも配布している。17、18両日には餅つきや振る舞い酒で訪日客をもてなす。
嵐山商店街の細川政裕会長(56)は「閑散期だった2月のイベントとして売り上げに結びつき始めた。リピーターにつなげたい」と期待を寄せる。
京都三条会商店街(中京区)では、日英中の3カ国語に対応したスマートフォン用アプリで集客を図る。各店舗の商品やサービスが閲覧でき、商店街や店舗が発行するクーポンを提示してお得に買い物を楽しんでもらう狙いだ。
京都市内の百貨店も受け入れ態勢を整えた。大丸京都店(下京区)は、これまで化粧品売り場のみだったスマホ決済をほぼ全館に導入。広報担当者は「中国人客の多くが、手軽に会計できるスマホ決済を使う」と手応えを語る。昨秋に免税カウンターを拡張した京都高島屋(同)や、ジェイアール京都伊勢丹(同)も、中国語ができる通訳スタッフや販売員の増員で対応を強化する。
総合免税店ラオックスでは、市内3店舗で春節キャンペーンを2月末まで開催。炊飯器や電動シェーバーなど、訪日客に人気の家電製品や化粧品を詰め合わせた福袋を販売する。店内設置のフォトスポットで撮影した写真をSNS(会員制交流サイト)に投稿すると、支払いを割引する企画も行っている。
市内の各ホテルも予約が堅調だ。リーガロイヤルホテル京都(下京区)は、春節期間の稼働率が16日までで8割を超え、昨年比で6・3%増加しているという。ホテル内の中国料理レストランでは「春節お慶びディナー」(1万1880円)を販売。春節期間に中国人が縁起物として食べるフォアグラやアワビなどの料理8品を提供しており、「日本人客も中国の正月文化を味わってほしい」としている。