京都市内で見つかった五榜の掲示の高札
大政奉還後の1868(慶応4)年3月、新政府は治安維持を目的に「五榜(ごぼう)の掲示」を全国に発した。京都市内で当時掲げられた高札が昨年、相次いで市歴史資料館(上京区)に寄贈され、現在公開されている。
五榜の掲示は、新政府が国民に向けて初めて出した禁止令。全国の人通りの多い場所に設けた高札場に掲げられた。第1札では、身寄りのない者を哀れみ、殺人や放火など犯罪を禁止。第2札は徒党を組むことや強訴、第3札はキリスト教や邪宗門をそれぞれ禁じる内容が記されていた。戊辰戦争中の治安維持を重視し、江戸幕府の禁令を踏襲した内容となっていた。
寄贈されたのは、西京区の桂(旧徳大寺村)と上桂(旧上桂村)の2旧家に伝来した第1~3札の計5枚(縦43~48センチ、横98~150センチ)。両家は江戸時代の庄屋で明治初期に村の自治にも関わり、それぞれの家の前が高札場だった可能性があるという。
高札場は京都府内に157カ所あったといい、市歴史資料館の秋元せき研究員は「府内でいくつか見つかっているが、京都市内で掲示場所まで類推できる高札は希少だ」と話している。
展示は3月7日まで。月曜休館。無料。