人気スマートフォン向けゲーム「ポケモンGO」の配信後、府内でスマホを操作しながら歩いたり、車や自転車を運転したりする「ながらスマホ」によるトラブルが相次いでいる。未成年者が深夜に出歩くケースも目立ち、府警は「重大な事故や犯罪被害につながる可能性がある」として取り締まりや啓発活動に力を入れている。(寺田航)
7月26日午後6時頃、左京区の路上で、スマホを操作しながらミニバイクでゆっくり走るアルバイト男性(18)を巡回中の下鴨署員が見つけた。スマホの画面にはポケモンGOが表示されており、署員は男性に交通反則切符(青切符)を交付。男性は「アイテムがもらえるスポットを探していた」と話したという。
ポケモンGOは、スマホの位置情報を使い、現実と連動した地図上を探索しながら、モンスターやアイテムを収集するゲーム。府警によると、国内配信が始まった7月22日以降、府内で車やバイクの運転中にスマホや携帯電話を操作する交通違反が相次いでおり、今月4日までの2週間に47件摘発。うち14件がポケモンGOの利用中だった。
西京区では7月28日、ポケモンGOをしながら自転車に乗っていた20歳代の女性が用水路に転落する事故も起きた。
ポケモンGOで遊ぶ未成年者の深夜徘徊はいかいも増えており、7月22~31日の10日間に約50人の少年を補導。大半が夏休み中の中高生だった。
府警は各署に「ながらスマホ」対策を強化するよう指示。向日町署は7月29日、長岡京市の府立乙訓高校で生徒ら約100人を対象に交通・防犯教室を開催した。実際に生徒に「ながらスマホ」をしてもらい、交通事故やひったくりの被害に遭う危険性が高まることを署員が加害者役になって実演。同高2年の横山紘太郎さん(16)は「被害者にも加害者にもならないよう、周りをよく見て遊びたい」と話していた。
また、八幡署は今月、八幡市内の小中学校の児童・生徒の保護者ら約6300人に注意喚起のメールを送信。下鴨署は、京都大近くの左京区・百万遍交差点周辺に署員が立ち、「ながらスマホ」をする大学生らに注意している。
府警は「重大な事態が起きないよう、取り締まりを続けたい」としている。
◇利用者1割トラブル
調査研究会社「MMD研究所」(東京)の調査では、「ポケモンGO」の利用者の約3割が、歩きながらスマホを操作した経験があった。
調査は7月、15~69歳の男女1949人にインターネットを通じて実施。ポケモンGOを知っていてスマホを持っているのは1453人で、このうち39%が実際に利用したことがあると回答した。利用の感想(複数回答)として、「歩きスマホをした」という回答が34%、「人や物とぶつかった」が5・5%あり、「転んだ・けがをした」と「スマホを落とした・壊した」がいずれも3・4%あった。
同研究所の妹尾亜紀子主任研究員は「利用者の約1割が何らかのトラブルに巻き込まれている。一人ひとりが周囲や自分の安全に気を配り、ゲームを楽しんでほしい」と話している。