うっすらと降り積もった雪が、枯山水やコケの庭、瓦屋根を白く覆った。厳冬の朝、国指定名勝の東福寺本坊庭園(京都市東山区)を上空から眺める。円や三角形、市松模様…。曲線や直線で描かれた斬新なデッサンが浮かび上がった。
昭和を代表する作庭家、重森三玲による近代禅宗庭園で、1939年に完成した。方丈の四方を、趣の違う四つの庭が囲う。
南庭は白砂で大海を表現した枯山水。西庭と北庭は、敷石や植え込みを配して大小の市松模様を図案化した。東庭は生け垣で天の川を表している。
紅葉や新緑シーズンに観光客でにぎわう季節とは違い、冬の朝はりんとした空気が張り詰める。
境内が白く染まるのは年に2、3回程度。それも昼ごろにはほぼ解けてしまう。朝日を浴びたモノトーンの景色は、刹那の輝きを残して消えていった。