小刀作りを体験するオーストラリア人のブランディさん(亀岡市本梅町・将大鍛刀場)
京都府内で唯一、日本刀を製作する刀工中西裕也さん(33)の工房「将大鍛刀場(まさひろたんとうじょう)」(亀岡市本梅町)で、小刀作りが外国人観光客の人気を呼んでいる。鍛冶場で真っ赤に熟した鋼を槌で打つという日本刀と同じ工程が体験できるとあって、毎月30人ほどが訪れ、「日本文化に触れ、面白い」と目を輝かせている。
昨年1月、海外の旅行サイトに掲載されてから、次々と申し込みが入り、今では人気上位になった。体験には1組3時間以上を要し、本業との兼ね合いもあり、毎月30人の受け入れが限界だという。
体験に参加したオーストラリア人の大学生ブランディ・ハーフさん(22)と弟のクインさん(15)は、棒状の鋼を約千度の「火床(ほど)」と呼ばれる炉で熱し、金鎚でたたいては熱する作業を繰り返し、中西さんから「もっと強く」「表面を平行にして」などとアドバイスを受けながら成形していた。さらに、刃文(はもん)を施す日本刀独特の「土取(つちとり)」や、強度を上げる焼き入れをし、刃渡り8~10センチの小刀に仕上げて名を入れた。
ブランディさんは「フェンシングを習っていたので、刀に興味があった。力が必要で難しかった」と満足そうだった。中西さんは「体験を通じて日本の文化を深く知るきっかけになれば」と期待する。