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老朽化交番・駐在所、進む統廃合 滋賀、住民の不安解消課題

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・3月末で廃止される膳所交番(大津市本丸町・膳所交番) 


滋賀県内で交番・駐在所の老朽化が進んでいる。県警が基準とする耐用年数をすでに超えている施設や、耐震基準を満たしていない建物もある。県警は人口減少地域を中心に駐在所の統廃合を進めてきたが、2017年度は初めて交番同士の統合に踏み切った。今後も警察施設の配置見直しが続くとみられる中、地域住民の安心安全をどう確保するかが課題となっている。

 「住民は交番の赤色の明かりと警察官の姿を見て安心する。廃止は納得できないが、決まったことは仕方ない」。大津市膳所学区自治連合会副会長の寺田智次さん(66)は残念がる。地元の膳所交番(同市本丸町)が、3月末で近接の膳所駅前交番(同市馬場2丁目)に統合されるからだ。交番同士の統合は県内で初めてとなる。

 膳所交番は1969年建設。県警が鉄筋コンクリート造の耐用年数としている50年を間もなく迎え、耐震化も済んでいない。県警地域課は「廃止の理由として、耐用年数や未耐震化はあくまできっかけ。統合することで、より効果的かつ効率的に職務に当たることができる」と説明する。

 膳所交番管内は人口が減っており、17年の犯罪認知件数はピーク時の02年に比べ約4分の1に激減した。夜間の勤務は1人で、事案に対応すると交番が無人になることも課題になっていた。県警は、膳所交番に勤務していた警察官と同じ人数を膳所駅前交番に増員し、パトロールも強化して警察力の空白をつくらないようにする計画だ。

 同様の動きは駐在所レベルで先行して進められてきた。現在、県内にある交番は56カ所、駐在所は103カ所。交番はここ20年で14カ所増えているが、逆に駐在所は25カ所減った。人口が減った地域を中心に、駐在所同士や交番への統合を図ってきたからだ。

 県警は、交番や駐在所の配置見直しを毎年検討している。その際、現状維持▽建て替え▽移転▽統廃合-のどれを選択するかは、単に人口だけではなく、昼夜の人の動き、治安情勢、管轄面積などを総合的に判断して決めるという。

 東日本大震災を受け、県警は耐震基準を満たしていない交番・駐在所の計35カ所すべての耐震化を13年度から5カ年計画で進めている。17年度で、7カ所の交番と駐在所の建て替えや改築を完了(一部は来年度中)させ、非耐震化の交番・駐在所をなくす予定だ。

 一方、耐震基準を満たしていても、建て替えの目安となる耐用年数(木造24年、鉄骨コンクリート造50年など)を超えている交番が2カ所、駐在所が13カ所あり、25年までにさらに5交番が期限を迎える。県警は「現時点では統廃合をさらに進める方針はない」としているが、中長期的な視点から、建て替えや統廃合を含めた最善策を見極めるとの立場だ。

 県警は、交番・駐在所を地域防犯の要と位置づける。それだけに、交番などがなくなった地域では住民の不安が高まるのは避けられない。県警には、十分な説明と、安心安全を住民が実感できる取り組みが求められる。


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