ブラジル・リオデジャネイロ五輪が開幕し、日本中がテレビにくぎ付けになる中、6月に施行された改正風営法がスポーツバーに思わぬ影響を与えている。午前0時以降に客に「ニッポンコール」などを促した場合、同法違反になる可能性があるためだ。府警は各店に注意を呼びかけているが、店側からは「どこからが違法なのかわからない」と戸惑いの声も漏れる。(三島浩樹)
繁華街・木屋町。リオ五輪の開幕を控えた7月下旬、中京署がスポーツバーなど12店を対象に抜き打ちの立ち入り指導を行った。
署員らは1店舗ずつ訪問し、午前0時以降に五輪中継を放映する予定があるかどうか確認。改正風営法の概要について書かれたチラシを手渡し、「客に応援を促したり、あおったりする行為は規制の対象になる恐れがある」などと注意した。
店主の一人は「一緒に応援しましょう」と書かれた貼り紙が同法違反にあたる可能性があるとして、指導された。「『中継しています』なら問題がないらしいが、線引きが難しい」と困惑していた。
改正風営法は、ダンス営業の規制緩和を目的に今年6月に施行された。午前0時以降の営業が禁じられていたクラブを、新たに「特定遊興飲食店営業」というカテゴリーに分類。照度基準を満たし、都道府県公安委員会の許可を得れば、24時間営業できるようになった。
この「特定遊興飲食店営業」には「スポーツ映像を不特定の客に見せ、呼び掛けて応援等に参加させる行為」も含まれ、スポーツバーがこれに当たる。府警によると、許可を得ていない店側が客に応援を促したり、鳴り物を渡したりすると、同法違反になる可能性があるという。
また許可を得られるのは、公安委員会が指定した営業可能地域だけ。府内では木屋町など一部地域に限られ、郊外では許可そのものを取ることができない。府警によると、現在、府内で許可を得ている店は9店あるが、スポーツバーは0店という。
営業可能地域外にある京都市内のスポーツバーの店主は「客と店員が一緒に盛り上がる場合もある。その場合、応援をあおっているのが客か店員かどうかなんてわからない」と戸惑いの声を漏らした。
リオ五輪は時差の関係で、決勝が午前0時以降にずれこむ競技も多い。
中京署の小林明彦生活安全課長は「深夜にお酒が入ると、トラブルに発展する恐れが高くなる。店舗ごとに適切な指導をしていきたい」としている。