岩倉具視の旧宅を案内をするボランティアガイド
王政復古に尽力した公家・岩倉具視が住んだ京都市左京区岩倉の国史跡「岩倉具視幽棲(ゆうせい)旧宅」が、観光客向けの施策を拡充している。今年は明治維新150年の節目でNHK大河ドラマ効果も見込まれ、さらなる来館者の増加が期待されている。
公武合体を進めた岩倉は辞官して1865年から67年まで同旧宅に身を隠し、坂本龍馬や大久保利通らと密議を重ねた。現在、旧宅には日本建築の主屋のほか、岩倉関連の史料を展示・収蔵する「対岳(たいがく)文庫」や、庭園などが残る。岩倉公旧蹟(きゅうせき)保存会(現在は解散)が管理していたが、2013年に市に寄付した。
16年度からは指定管理者として植彌(うえや)加藤造園(左京区)が運営し、観光客向けに観覧内容を大幅に刷新。立ち入り禁止だった建物内に上がれるようにし、幕末に岩倉や志士たちが見ていた目線で邸内や庭園を見学できるようになった。
また土、日曜と祝日にはボランティアガイドによる説明も始めた。岩倉の人生や人間関係が分かりやすいと来館者に好評で、ガイドを務める明石忠さん(74)=中京区=は「大政奉還150年の昨年から関東や九州からも来館者が増えてきた。最近は明治維新に詳しい人も多く話しやすい」と言う。
旧宅では岩倉の古文書を読む講座も継続して開き、地元京都の住民にも親しみやすいよう工夫した。年間5千人程度だった来館者は、大政奉還から150年となった昨年は6千人を超えた。学芸員の重岡伸泰さん(46)は「岩倉周辺の観光施設と連携して地域全体の活性化に貢献していきたい」と話している。
入場料が必要。午前9時~午後5時。水曜休館(祝日の場合は翌日休館、年末年始休館)。同旧宅075(781)7984。