川瀬さんの監修で本格的な日本庭園への再整備が予定されるプラハ市植物園の日本庭園(チェコ・プラハ市)
元宮内庁林園課専門職で、修学院離宮などの名庭を管理してきた川瀬昇作さん(64)=大津市=が、チェコで再整備される日本庭園の監修役を務めることになった。来日したプラハ市植物園の職員との打ち合わせも済ませ、「日本の庭園文化の素晴らしさを知ってもらいたい」と、2021年完成を目指して作業に入る。
京都市西京区出身の川瀬さんは宮内庁に入り、仙洞御所や桂離宮などの名庭に携わってきた。退職後は「宮廷庭園研究所」を開き、庭の魅力を広めている。
プラハ市植物園では、1997年に日本の植物を紹介するため、チェコ人の手で日本庭園が整備された。その後、本格的な日本の庭を目指して改修計画が浮上。プラハ市の姉妹都市である京都市が協力し、国土交通省の海外日本庭園修復モデル事業に採択され、監修役として川瀬さんに白羽の矢が立った。
川瀬さんは、プラハ市植物園の日本庭園を昨年視察。プラハは湿度が低いため、池を設ける必要性を指摘し、松や竹などの植物は現地で手に入ることを確認した。改修では仙洞御所で有名な藤棚を設け、桜や梅で花見をできるようにする構想を練っている。
先月にプラハ市植物園の幹部が打ち合わせで来日し、川瀬さんが京都迎賓館や京都御所、市洛西竹林公園などの庭を解説した。プラハ市植物園の職員は「茶室も設けて茶会も開きたい。手本となる日本庭園を造れば、日本文化をプラハでより知ってもらえるようになる」と期待する。
6月にも再びプラハへ向かう川瀬さんは「日本庭園の『わびさび』の世界を表現したい。プラハの人に日本の庭園文化を理解してもらい、さらに交流が深まればいい」と話している。
【 2018年04月17日 京都新聞 】